企業のWeb運用において「ちょっとした修正なのに時間とコストがかかりすぎる」という課題は、多くの組織が直面する共通の悩みです。
この解決策として注目される「内製化」ですが、実際に取り組んでみると「最初から高い目標を設定しすぎて挫折した」「技術負債が蓄積してしまった」といった失敗事例も少なくありません。
株式会社caroa(カロア)はノーコードWeb制作ツール「Studio」のパートナー制度「Studio Experts」において、ゴールドランクおよびエンタープライズパートナーとして活動しています。Studioは、コーディング不要でWebサイトを構築・運用できるツールで、デザインの自由度を保ちながら、保守運用の負担を大幅に軽減できることが特徴です。
カロアでは企業のWeb制作・運用に関する内製化支援をしています。制作会社でありながら、なぜ企業の内製化を支援するのか。一見矛盾するように思えるこの取り組みの背景と、実践的な内製化の進め方について解説します。
- 外注依存では市場変化に対応できない──内製化が必須となる3つの理由
- 内製化により更新スピード10倍を実現できる
- 制作会社が内製化を推進する理由は「パートナーシップへの転換」
- Studioが実現する「保守」と「運用」の分離
- カロアが推奨する「内製化6段階モデル」で着実にレベルアップ
- レベル0:完全外注──すべてを外部依存
- レベル1:部分的更新──お知らせ更新から始める第一歩
- レベル2:部分的内製化──テンプレートでLP量産体制を構築
- レベル3:条件付き内製化──コンポーネントで自由度が広がる
- レベル4:高度内製化(社内主導)
- レベル5:完全内製化(自走体制)
- 「社内のコミット」という越えがたい壁
- よくある失敗は「最初から完璧を目指す」こと
- 失敗パターン1:いきなりレベル5を目指して挫折
- 失敗パターン2:技術負債の蓄積
- 段階的アプローチの実践方法
- レベル1:コーポレートサイトや採用サイトから始める
- レベル2:サービスサイトやLPの量産体制を構築
- レベル3:コンポーネントベースの柔軟な制作体制
- 体系的に学べる内製化支援プログラム
- 4つのモジュールで段階的にスキルアップ
- 現場で即実践できるワークショップ形式
- 持続可能なWeb運用体制の構築に向けて
外注依存では市場変化に対応できない──内製化が必須となる3つの理由
多くの企業が直面している外注依存の課題は、もはや無視できないレベルに達しています
簡単な修正でも1週間かかる時間的損失 :「バナーの差し替えだけで見積もり5万円、納期1週間」といった事例は珍しくありません。見積もり依頼、発注書作成、確認・修正のやり取りなど、実作業以外の工程に多くの時間が費やされ、市場機会を逃し続けています。
意思疎通だけで月間40時間を浪費:外部パートナーとのコミュニケーションに、月間で換算すると約20〜40時間を費やしている企業も少なくありません。デザインの微妙なニュアンスを言語化する難しさ、修正指示のための資料作成など、本来の業務を圧迫しています。
5年経ってもWeb知識ゼロの組織:外注に依存し続けた結果、5年、10年経ってもWebに関する知見が社内に蓄積されません。適切な判断ができず、外部パートナーの提案を評価する能力も育たないという悪循環に陥っています。
内製化により更新スピード10倍を実現できる
内製化がもたらすメリットは、数値として明確に表れます。
スピードは最大10倍に向上:思いついたその日に修正を反映できるようになります。私たちのクライアント企業では、従来1週間かかっていたLP作成が、半日で完了するようになった事例があります。キャンペーンの反応を見ながらリアルタイムで最適化することも可能です。
PDCAサイクルは日単位で回せる:データを見てすぐに改善、その結果をまた分析して次の改善へ。このサイクルを日単位、場合によっては時間単位で回せるようになります。A/Bテストの実施数が月2回から週5回に増え、コンバージョン率が150%向上した事例もあります。
ブランド一貫性の担保が可能に:外部パートナーが変わるたびに微妙にテイストが変わるという問題が解消され、一貫したブランド体験を提供できるようになります。
制作会社が内製化を推進する理由は「パートナーシップへの転換」
「制作会社が内製化を勧めたら、自分たちの仕事がなくなるのでは?」
この疑問はもっともです。しかし、私たちが目指しているのは、従来の「作って納品する」関係から「共に成長するパートナーシップ」への転換です。
企業が基本的な運用を内製化できれば、制作会社はより専門的で付加価値の高い領域に集中できます。年次の大規模リニューアル、ブランド戦略の立案、複雑な機能開発など、真に専門性が求められる領域で協業することで、両者にとってより生産的な関係を構築できると考えています。
そこで私たちはノーコードWeb制作ツールである「Studio」を活用した企業のWeb制作・運用の内製化を推進しています。
Studioが実現する「保守」と「運用」の分離

Web運用を内製化する上で、まず理解すべきは「保守」と「運用」の明確な区分です。
保守業務には、サーバー管理、SSL証明書の更新、セキュリティ対策、データのバックアップなどが含まれます。これらは専門的な知識を要し、ミスが許されない領域です。
一方、運用業務は記事更新、コンテンツ制作、新規ページ追加、アクセス解析などを指します。これらは企業のビジネスに直結する活動であり、スピーディーな対応が求められる領域です。
Studioを活用することで、保守業務の多くをツール側に委ねることが可能になります。
サーバーの管理やセキュリティアップデートはStudio側で自動的に行われるため、企業は本来注力すべき運用業務に集中できる環境を構築できます。これが、ノーコードツールを活用した内製化の大きなメリットです。
カロアが推奨する「内製化6段階モデル」で着実にレベルアップ

私たちカロアは、これまでの支援経験を基にWeb運用内製化を6段階に分類する独自のフレームワークを開発しました。このモデルは、企業が現在地を把握し、次の目標を明確にするための指針となります。
レベル0:完全外注──すべてを外部依存
Webサイトの運用をすべて外部に委託し、社内は指示や承認のみを行う段階です。多くの企業がこの状態からスタートします。
レベル1:部分的更新──お知らせ更新から始める第一歩

CMSを使用した記事更新や、テキスト・画像などの簡易的な更新を社内で対応する段階です。大きな修正や新規ページ作成は引き続き外部パートナーに依頼します。Studioの場合、直感的な操作でテキスト編集や画像差し替えが可能なため、非技術者でも容易に対応できます。
レベル1で実現できること
お知らせやニュースの更新
営業時間や料金などの基本情報の変更
バナー画像の差し替え
簡単なテキスト修正
このレベルでも、年間50〜100万円程度のコスト削減が可能です。
レベル2:部分的内製化──テンプレートでLP量産体制を構築

事前に用意されたテンプレートを活用して新規ページを追加できる段階です。アクセス解析やA/Bテストによる改善も自走できるようになります。Studioでは、テンプレートの複製と編集が簡単に行えるため、キャンペーンページやLPの量産に適しています。
レベル2で実現できること
キャンペーンLPの量産
商品ページの追加
イベント告知ページの作成
A/Bテストの実施と分析
月数十万円程度かかっていたLP制作費が社内の稼働だけになる段階です。
レベル3:条件付き内製化──コンポーネントで自由度が広がる

マーケティング担当者が事前に用意されたコンポーネント(部品)を組み合わせてサイトを更新できる段階です。Studioのコンポーネント機能を活用することで、デザインの一貫性を保ちながら、柔軟なページ制作が可能になります。
レベル3で実現できること
既存ページのレイアウト変更
新しいセクションの追加
デザインパターンの組み合わせによる新規ページ作成
簡単なインタラクションの実装
外部のパートナー企業に頼していた作業の7割を内製化できます。
レベル4:高度内製化(社内主導)
既存デザインをもとに新規ページを作成でき、専門領域や大規模リニューアルの時のみ外部パートナーへ依頼する段階です。
レベル5:完全内製化(自走体制)
すべて内製で実行し、継続的に高速で改善を回せる状態です。
「社内のコミット」という越えがたい壁

注目すべきは、レベル1→レベル2、レベル2→レベル3への移行時に存在する「社内のコミット」という壁です。
この壁を越えられない企業の特徴は明確です。経営層が内製化を「コスト削減の手段」としか見ていない、担当者に権限が与えられていない、担当者がしっかりと時間を確保できない──これらの要因により、多くの企業がレベル1で停滞してしまいます。
逆に、経営層が内製化を「組織能力向上の投資」と位置付け、担当者に適切な権限を与え、試行錯誤を推奨する企業は、着実にレベルを上げていきます。
よくある失敗は「最初から完璧を目指す」こと
失敗パターン1:いきなりレベル5を目指して挫折
いきなりレベル5の完全内製化を目指し「全部自分たちでやる!」と意気込んで始めたものの、3ヶ月で挫折するケースが後を絶ちません。
まずはレベル1の部分的更新から始め、組織の成熟度に合わせて段階的にレベルを上げていくことが重要です。
失敗パターン2:技術負債の蓄積
「なんとなく」「とりあえずやってみよう」で進めてしまい、統一性のないデザインや複雑な構造、メンテナンスがしづらいページが生まれてしまうケースです。これは技術負債となりどんどん溜まっていくことで、効率化を目指したことが逆に自分たちの首を絞めることになります。
これを防ぐためには、初期段階で私たちカロアのような専門家と連携し、適切な基盤を構築してトレーニングを受けることが大切です。適切なステップを踏み、かつ会社としてコミットがあれば内製化が実現できない企業はいません。
段階的アプローチの実践方法
レベル1:コーポレートサイトや採用サイトから始める
まずは操作方法を簡単に学習し、Studioの基本的な編集機能を使った更新作業から始めることが重要です。この段階では「できること」を明確に制限することが成功の鍵となります。
Studioの優れた点は、編集可能な範囲を細かく制御できることです。例えば、特定のテキストエリアのみを編集可能にし、デザインやレイアウトは変更できないように設定できます。これにより、ブランドイメージの統一性を保ちながら内製化を進められます。
レベル2:サービスサイトやLPの量産体制を構築
LP制作やA/Bテストを頻繁に行う必要がある企業は、レベル2を目指すべきです。Studio Expertsとして、私たちはクライアント企業向けに10種類程度のテンプレートを用意し、それらをベースにページを量産できる体制を構築しています。
実際の事例では、月5本のLP制作を従来の1/10のコストで実現した企業もあります。Studioのテンプレート複製機能とCMS機能を組み合わせることで、効率的な制作フローを実現できます。
レベル3:コンポーネントベースの柔軟な制作体制
コンポーネントベースの制作が可能になるレベル3では、「デザインシステム」の構築が極めて重要になります。Studioでは、ボタンやカード、見出しなどをコンポーネント化し、それらを組み合わせてページを構築できます。
私たちがパートナーとして支援する際は、必ずデザインルールも合わせて策定します。見出しと本文の間隔、使用する色数の制限、フォントサイズの規定など、詳細なルールを設けることで、誰が作業しても一定のクオリティを保つことができます。
体系的に学べる内製化支援プログラム
運用業務を詳細に分解すると、「サイト更新」「コンテンツ制作」「サイト設計」「流入計画」「データ分析」の5つの要素に分けられます。
Studioを活用した内製化では、まず「サイト更新」から着手し、段階的に他の領域へ拡張していくことを推奨しています。Studioの分析機能やGoogle Analyticsとの連携により、データ分析の内製化も比較的スムーズに進められます。
私たちカロアは、企業のWeb運用内製化を体系的に支援する「カロアキャンプ for Business」プログラムを提供しています。
単なるツールの使い方講座ではなく、Web運用に必要な知識とスキルを包括的に身につけられる実践的なプログラムです。
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4つのモジュールで段階的にスキルアップ
モジュール1:前提知識(Webの基礎を理解する)
Webサイトの効果と目的の明確化
サイトタイプ別の特徴理解(コーポレート、サービス、採用、EC)
BtoB/BtoCサイトの違いと戦略
効果的な集客方法の選択
モジュール2:設計(ビジネスゴールから逆算する)
価値設計の手法(バリュープロポジション、USPの定義)
ターゲット設計(ペルソナ作成、カスタマージャーニーマップ)
目標設計(KPI/KGIの設定と測定方法)
戦略設計(競合分析、ポジショニング戦略)
サイト設計(情報アーキテクチャ、ワイヤーフレーム)
ブランド設計(トーン&マナー、ビジュアルアイデンティティ)
モジュール3:デザイン(ビジネス成果を生むデザイン)
非デザイナーが押さえるべきデザインの基本原則
デザインがビジネスに与える影響の定量化
ブランド戦略の実践方法
Studioでのデザイン実装テクニック
モジュール4:実装(Studioを使いこなす)
Studioの基本操作から応用まで
効率的なコンポーネント設計と管理
CMSの効果的な活用方法
パフォーマンス最適化とSEO対策
現場で即実践できるワークショップ形式
座学だけでなく、実際に手を動かすワークショップを各モジュールに含んでいます。自社のWebサイトを題材にすることで、学んだことをすぐに業務に活かせます。
ワークショップ例
自社サイトの課題抽出と改善計画立案
ペルソナ作成とカスタマージャーニー設計
Studioでの実際のページ制作
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持続可能なWeb運用体制の構築に向けて
Web運用の内製化は、単なるコスト削減や効率化の手段ではありません。市場の変化に素早く対応し、顧客のニーズに即座に応えられる組織能力を構築することが、その真の価値です。
Studioとそれを支援する会社の存在により、技術的なハードルは大幅に下がりました。あとは、組織としてどのレベルを目指し、どのように進めていくかという戦略の問題です。
制作会社と企業が対立関係ではなくパートナーとして協力し合い、共に成長していく。このような新しい関係性の構築が、デジタル時代における持続可能なWeb運用体制の鍵となるでしょう。
レベル1から始めることは決して恥ずかしいことではありません。むしろ、堅実で現実的なアプローチです。一歩ずつ、確実に内製化のレベルを上げていくことで、1年後には想像もできなかった体制が構築できているはずです。



















