「Studioって、実際のところどうなの?」「ノーコードで本当に大丈夫なんだろうか?」。Web制作のツール選定で、Studioを検討に入れたとき、多くの担当者がこの疑問にぶつかっていたりします。
Studio は、ノーコードでありながらデザインの自由度が高く、運用も内製化しやすい数少ないツール。一方で、当然ながら できないこともあります。導入してから「これができないとは思わなかった」と気づく場面は、現場でしばしば起きていたりする。
カロアは2020年のStudio Experts(旧Studio Partners)発足時から加盟しており、現在はゴールドランクおよびエンタープライズパートナーとして、企業のWeb制作を多数支援しています。Studioが向く案件・向かない案件、許容すべき制約事項、そして直近のアップデートで改善されたポイントを、現場の知見をもとに体系的にまとめました。
本記事では、特に Studioでできないことを中心に整理しつつ、直近のアップデートで改善された機能も併せて掲載します。これは「Studioの欠点をあげつらう」ためではなく、導入前に前提を揃えることで、発注者・制作者・運用担当者の3者間で認識のズレを防ぐため。Web制作は、できることよりも「何が許容できないか」を最初に見極めることで、後の運用が圧倒的に楽になります。
- 本資料を作った理由
- なぜStudio導入の判断が、プロジェクトの成否を分けるのか
- Studioは、どんな案件に向き、どんな案件に向かないのか
- Studioが向く案件
- Studioが向かない案件
- Studioの基本知識
- 基本機能で何を許容すべきか
- 1. タブ切り替えができない
- 2. 会員登録・ログイン機能がない
- 3. パンくずの自動生成ができない
- 基本機能・直近のアップデートで改善されたこと
- 動画の直接アップロード対応(2025年5月)
- フォーム機能で何を許容すべきか
- 1. 送信完了メールの自動送信ができない
- 2. フリーメール禁止などの条件をつけられない
- 3. エラーメッセージのカスタマイズができない
- 4. フォーム回答数に上限がある
- デザイン制作で何を許容すべきか
- 1. classが付けられない
- 2. ページ遷移のアニメーションを指定できない
- 3. max/min の値が指定できない
- 4. 偶数番目・奇数番目のスタイル指定ができない
- デザイン制作・直近のアップデートで改善されたこと
- 1. フォントの相対値設定(rem/dvh/vw/vh)対応(2024年11月)
- 2. 独自フォント追加(Custom Fonts)対応(2025年11月・Editor 5.0)
- 3. 色の一括変更(選択色機能)対応(2026年3月)
- 4. スクロール連動アニメーション(Scroll Effect)対応(2026年4月)
- 5. Loop Box(無限ループ表現)対応(2026年2月)
- 6. Editor 5.0 で標準搭載された機能まとめ(2025年11月)
- CMS機能で何を許容すべきか
- 1. ページネーションができない
- 2. コメント投稿機能はない
- 3. 自動で人気順を表示できない
- 4. 自動で関連記事を表示できない
- 5. 記事作成エディタで使える要素が少ない
- 6. 読み込みに時間がかかる
- 7. CMSデータのエクスポートができない
- CMS機能・直近のアップデートで改善されたこと
- 1. 複数条件フィルター(URLクエリフィルター)対応(2026年2月)
- 2. AND/OR条件フィルター対応(2026年4月)
- 3. 複数リッチテキストで、記事構成の自由度が向上(2026年4月)
- 4. CMSリスト表示順(ソート)強化(2026年4月)
- 5. リッチテキストへのPDF・動画直接アップロード(2026年4月)
- 6. Data Connect API で外部データを動的ページに表示(2026年4月)
- サイト公開で何を許容すべきか
- 1. 無料プランでは独自ドメインで公開できない
- 2. 既存サイトから切り替え時にダウンタイムが発生する
- 3. ページの予約公開・更新ができない
- 4. ページ単位の更新ができない
- 5. 小文字英語のドメインしか使えない
- 6. ドメインの購入・管理機能はない
- 7. 既存サイトの一部下層のみの移行は難しい
- 8. 自前のサーバーは使えない
- 9. メールサーバーは提供されない
- 10. プレビューと本番に若干の差異がある
- 11. 表示速度が決して高速ではない(現時点での既存基盤の話・ベータ版で改善見込み)
- サイト公開・直近のアップデートで改善されたこと
- 新公開サイト基盤(Beta版)— 表示速度の根本的な改善(2026年1月)
- その他で許容すべき制約
- 1. パソコンでしか操作できない
- 2. 夜間・休日はサポートにつながらない
- 3. サービス終了時の対応が必要になる
- 制約を「妥協」ではなく「設計」として扱う
本資料を作った理由
カロアでは、ノーコードWeb制作ツール「Studio」のミッション、プロダクト自体の使いやすさに魅力を感じ、Studio Expoerts(旧:Studio Partners)の発足当初から認定いただき、3年間STUDIOでのWeb制作の活動してきました。この記事を書いている私(葉栗)としては2018年ごろから使用しています。
そのなかで「Studioって実際どうなの?」「導入してみて本当にいいの?」という意見を多くいただくことがあり、Studioのちゃんとした情報をより多くの方に知っていただき、判断材料としていただくべく、カロア独自にまとめて本記事を作成しました。
記事内ではStudioではできないことを中心に紹介していくので、その仕様を許容できるかどうかをご判断ください。
なぜStudio導入の判断が、プロジェクトの成否を分けるのか
Webサイトは、顧客・社員・ユーザーといったステークホルダーとの大切な接点です。一度作って終わりではなく、定期的に更新し、運用を続けていく前提のもの。何で作るかの選択は、その後数年の運用設計を左右する決断になります。
カロアの伴走経験で言うと、ツール選定の段階で「できないこと」を把握していなかったプロジェクトほど、後半でつまずきます。実装フェーズで「これができないとは聞いていなかった」と判明し、要件を諦めるか、カスタムコードで無理やり対応して保守性を犠牲にするか、の二択を迫られる。どちらも、最初に許容ラインを揃えていれば避けられた事態です。
ノーコードツールは、標準機能(ノーコード)で必要十分な場合に、最大の効果を発揮します。それを超える要件をカスタムコードで無理やり実現しようとすると、結局はコーディング(スクラッチ)で作った方が早かったというケースも少なくありません。
だからこそ、導入を判断する前に「Studioで何ができないか」を網羅的に把握しておくことが、プロジェクトの成功率を大きく押し上げます。
Studioは、どんな案件に向き、どんな案件に向かないのか
カロアが現場でクライアントにお伝えしている、Studio導入の判断軸は以下の通りです。あくまで一般的な傾向であり、すべての案件に当てはまるわけではありませんが、検討の出発点としてご活用ください。
Studioが向く案件
エンジニアのリソースを減らし、デザインやマーケティングに投資したい
営業・広報・人事など、デザイナー/エンジニアではない人がサイトを更新したい
コンテンツやマーケティング施策にしっかり力を入れたい
まずミニマムで作って仮説検証し、段階的に拡張したい
1〜30ページほどの小中規模のサイトを作りたい
ディレクター + デザイナーのミニマム体制で制作・運用したい
デザイナーが直接サイトを実装したい
採用サイト、コーポレートサイト、サービスサイト、ランディングページが中心
Studioが向かない案件
100ページ規模の大規模サイトを作りたい
本格的なECサイトを作りたい
検索機能が豊富なポータルサイトを作りたい
ユーザーのクリックやマウス操作に応じたインタラクティブな体験を作りたい
ページ表示速度を最大限まで高速化したい(ただし新公開サイト基盤Beta版で改善見込みあり・後述)
本格的なオウンドメディア・Webメディアを作りたい
外部のプロダクトやサービスとの密な連携が必要(ただしData Connect APIで改善・後述)
Studio導入の代表的な動機は「エンジニアリソースを減らしたい」「社内でWeb運用を内製化したい」というものです。
もともとWebサイト制作は、専門のエンジニアや制作会社しかできない領域でした。それがノーコードツールの発展で、誰もが扱える領域に広がりつつあります。
エンジニアリソースや開発費を抑え、その分の予算をデザイン・マーケティング・ブランディングに回したい場合、Studioは非常に有効な選択肢です。
逆に、しっかりした演出や複雑な機能を実装したいキャンペーンサイトやイベントサイトでは、Studioの制約が多すぎてお勧めできません。カスタムコードで無理やり実現することもできますが、そこまでしてStudioを選ぶ意味があるかは慎重に検討する必要があります。
ノーコードは魅力的ですが、ツールの仕様で必要十分な範囲に収まる場合に最大の効果を発揮します。それを超える場合は、コーディング(スクラッチ)で作る方が結果的に早く・安いケースも多いです。
Studioの基本知識
Studioは、考え方や使い方次第でできることはたくさんあります。だからこそ「できないことを正確に知る」のが重要です。
これから列挙する「できないこと」について、代替案で対応できるか、もしくは要件として許容できるかを判断していけば、Studioの導入可否がクリアになります。逆に、絶対に外せない要件があり、それが許容できない場合は、Studioではなく他のツールやコーディング(スクラッチ)を選ぶのが正解です。
なお、以下にまとめるのは 標準機能(ノーコード)で実現できないことです。カスタムコードを書いてローコードにすれば解消できる項目もあります。ただし、ローコード化はノーコードのメリット(運用のしやすさ・誰でも触れる環境)を一部失うことになるため、慎重に判断してください。
また、各カテゴリの「許容すべきか」セクションの後に、直近のアップデートで改善されたこともまとめています。「以前は制約だったが、現在は対応している」項目をここで参照できる構成です。
基本機能で何を許容すべきか
サイトの表現や機能で、一般的なサイトでは標準的に使われているものの、Studioの標準機能では実現できない項目をまとめます。
1. タブ切り替えができない
代替案として、タブをクリックしたときの動作によって以下の2パターンがあります。
ページ内でタブ切り替えを行う場合: カロアの過去記事で紹介しているIDを使った実装で代用可能です。
ページ遷移が可能な場合: タブごとに別ページを生成し、リンクで接続します。一見タブ切り替えに見えますが、実際は単純なページ遷移です。
どちらの方法でも代替できますが、ユーザー体験には多少の違和感が残ります。
2. 会員登録・ログイン機能がない
代替案として、標準機能の「サイト全体をパスワード保護する」機能が使えます。ただし、これは単一パスワードによるサイト全体の保護機能であり、ユーザーごとの会員登録・ログインの代替にはなりません。
会員機能が厳密に必要な場合、Studioは適しません。フロントエンド上で会員機能風に見せるツールも存在しますが、データの取得や管理が難しいため、素直に別のツール(WordPress + 会員プラグイン、Webflow Membershipsなど)を検討するのが現実的です。
3. パンくずの自動生成ができない
代替案として、手動で全ページにパンくずを設置する形になります。ただし、ページタイトルの変更時に自動連動しないため、運用フェーズで更新漏れが起きやすい点には注意が必要です。
基本機能・直近のアップデートで改善されたこと
動画の直接アップロード対応(2025年5月)
以前は動画の直接アップロードに対応しておらず、Vimeo / YouTube などのプラットフォーム経由での埋め込みが必須でした。2025年5月のアップデートで、Studio に動画ファイルを直接アップロードできる仕様に変わっています。
対応形式は MP4 / WebM、1ファイルの最大容量は1GBまで。ストレージ容量はプラン依存(Free 5GB / Mini・Personal 10GB / Business・Business Plus 100GB / Enterprise カスタム)で、自動再生・ループ再生・ミュート再生などの再生オプションもコード不要で設定できる仕様です。
引き続き、Vimeo / YouTube からの iframe 埋め込みも利用可能。長尺の動画やプラットフォーム側の機能(チャプター・字幕・外部公開先での再生など)を活用したい場合は、外部プラットフォーム経由の方が向いていたりします。
公式ヘルプ: Studioに動画を直接アップロードできますか? / YouTube動画を埋め込む / Vimeo動画を埋め込む
フォーム機能で何を許容すべきか
1. 送信完了メールの自動送信ができない
代替案として、Zapier や Make といった外部ツールと、スプレッドシートを連携させることで、フォーム送信時の自動メール返信が実現可能。設定には多少の知識が必要ですが、慣れれば比較的シンプルに構築できます。設定が不安な場合は、カロアでもサポート可能です。
公式ヘルプ: フォーム送信時の自動返信メール
2. フリーメール禁止などの条件をつけられない
Studio内のフォーム機能だけでは実現が難しいため、HubSpot や Account Engagement(旧 Pardot)といった外部のフォームツールを Studio サイト上に埋め込む形で代用できます。
3. エラーメッセージのカスタマイズができない
カスタムコードを使ってスタイルを上書きすればカスタマイズは可能。ただしローコードになるため、運用負荷とのバランスを考慮する必要があります。
4. フォーム回答数に上限がある
プランごとにフォーム回答の閲覧数に上限あり。フォーム結果をスプレッドシートに自動連携し、Studio上に保存しないようにすれば、上限の影響を回避できます。
デザイン制作で何を許容すべきか
1. classが付けられない
要素には id のみ付与可能で、class による再利用可能なスタイル定義はできません。スタイルの管理がやや煩雑になる点は許容が必要です。
2. ページ遷移のアニメーションを指定できない
Studioにはデフォルトでふわっとしたページ遷移アニメーションが組み込まれており、それ以外の演出を指定することはできません。ページ遷移の演出にこだわりたいプロジェクトでは、Studio以外を検討するのが現実的です。
3. max/min の値が指定できない
要素の縦幅・横幅に最大値(max-width など)や最小値(min-width など)を指定できません。レイアウトの柔軟性に制約が出る場面があります。
4. 偶数番目・奇数番目のスタイル指定ができない
リストやCMSで「交互に色を変える」といった、CSS の :nth-child() 的な指定が標準ではできません。手動で個別にスタイルを当てるか、リスト全体に id を付けてカスタムCSS で対応する必要があります。
デザイン制作・直近のアップデートで改善されたこと
1. フォントの相対値設定(rem/dvh/vw/vh)対応(2024年11月)
以前は rem や em といった相対値での指定はできず、ブレイクポイントごとに px での指定が必須でした。2024年11月のアップデートで、文字サイズに rem (root em)単位が追加され、サイト全体の一貫したタイポグラフィ管理が効率化されました。あわせて、vw(画面幅連動)や dvh(モバイルのアドレスバー表示/非表示に応じて自動調整)も使えるように。レスポンシブ対応の柔軟性が大きく上がっています。
公式: 新しいサイズ単位「dvh」「vw」「rem」の提供開始
2. 独自フォント追加(Custom Fonts)対応(2025年11月・Editor 5.0)
以前は Google Fonts と TypeSquare のみで、独自フォント(オリジナルフォントや有償の他社フォント)を追加する手段はありませんでした。2025年11月25日リリースの Editor 5.0 で「Custom Fonts」機能が解放され、.ttf .otf .woff .woff2 形式のフォントファイルを直接アップロードして利用できるようになりました(1ファイルあたり50MBまで)。
Google Fonts / TypeSquare / FONTPLUS / Custom Fonts に加えて、2026年3月24日のアップデートでモリサワフォント(7ファミリー / 25フォント)も標準対応。日本語フォントの選択肢が大きく広がっています。これで、ブランドの世界観を独自フォントで表現したい案件でも、Studioを選択肢に入れやすくなりました。
公式ヘルプ: カスタムフォント(Custom Fonts)
3. 色の一括変更(選択色機能)対応(2026年3月)
以前は、テキストや線などの色はすべて手動で個別設定する仕様で、サイト全体の色を一括で変更する機能がありませんでした。2026年3月3日のアップデートで「選択色」機能が追加され、選択しているボックスやグループ内で使用している色を一覧で確認し、一括で変更できるようになっています。
ページ単位や要素単位で色の確認や一括変更ができ、配色の確認や調整を効率化できる仕様。プロジェクト全体の一括管理は引き続き「カラースタイル」機能を使う形ですが、デザイン途中の配色見直しが圧倒的に楽になりました。
公式ヘルプ: 選択色を活用する
4. スクロール連動アニメーション(Scroll Effect)対応(2026年4月)
以前はスクロールをトリガーにしたスタイル変化はできず、パララックスのような表現はカスタムコードを書く必要がありました。2026年4月9日リリースの「Scroll Effect」で、スクロールに合わせたアニメーションがコードを書かずに実装可能に。没入感のあるWebサイト表現を、Studioの標準機能だけで実現できるようになっています。
5. Loop Box(無限ループ表現)対応(2026年2月)
ロゴスライダーやニュースティッカーのような 無限ループ表現を、Studio標準機能で実装できるようになりました。2026年2月13日リリースの「Loop Box」は、ボックス内に配置したロゴや画像などを無限にループさせる機能。流れる方向(上下左右)、速度調整、ホバー時の停止などをコード不要で設定できます。コーポレートサイトのクライアントロゴ一覧やサービスサイトのキャッチコピー演出で出番の多い機能です。
公式: Loop Box リリース
6. Editor 5.0 で標準搭載された機能まとめ(2025年11月)
2025年11月25日リリースの Editor 5.0 は、Studioのデザインエディタの最新バージョンで、AIアシスト機能を中心に多数の新機能が標準搭載されました。Custom Fonts(前述)以外の主な追加要素は以下です。
AI機能: Image AI(画像編集)・Text AI(文章自動生成)・Auto Responsive(AIレスポンシブ補完)・Layer Rename(AIレイヤー名整理)
Material Symbols(アイコン)標準搭載
Studio.Stock(画像素材)標準搭載
大規模プロジェクトのパフォーマンス向上(100ページ超のサイトで、ボックス選択やドラッグ操作のスピードが劇的に改善)
旧エディタへの一時的な切り替えは2026年5月末までサポート予定。これ以降は Editor 5.0 がデフォルト環境になります。
公式: Editor 5.0 リリース
CMS機能で何を許容すべきか
1. ページネーションができない
代替案として、note のような「もっとみる」ボタンによる追加読み込みは可能です。ただし、読み込んだ状態はサイト上に保持されないため、「一覧 → 詳細 → 一覧」の遷移後はリセットされます。
2. コメント投稿機能はない
ブログ記事ページのような、ユーザーがコメントを書き込める機能はありません。代表的な代替手段もないのが実情です。
ただし、Studio CMS のライター記事入力画面には、Word や Google Docs のような コメント・フィードバック機能があり、執筆プロセスでの編集者間コミュニケーションには活用できます。
3. 自動で人気順を表示できない
代替案として、コレクション機能を使い、アナリティクスツールで確認した人気順に 手動で並び替えることで疑似的に再現する形になります。
4. 自動で関連記事を表示できない
代替案として、プロパティを追加し、各記事に関連記事を手動で紐づける形で対応できる。または、タグを使って「同じタグを含む記事を表示」させることで、ある程度の自動化は可能です。
5. 記事作成エディタで使える要素が少ない
「左右に表示」「吹き出し」「ボタン」「他記事の自動埋め込み」といったリッチな装飾は、標準のエディタでは実装できません。装飾を多くしたい場合は機能不足を感じる可能性があります。
標準エディタで使える要素
<h1> <h2> <h3> <p> <b> <s> <u> <i> <a> <li> <ol> <blockquote> <hr> <code> <img> <iframe> <table> <th> <td>
代替策として、装飾が必要な箇所は画像化して挿入するケースが多いものの、テキスト性が損なわれるためSEOへの影響を考慮する必要が出てくる。
6. 読み込みに時間がかかる
CMS を利用する場合、サイトにアクセスして描画されてからデータを取得する仕組みのため、数秒の遅延が発生します。データ容量によって変わりますが、この遅延が許容できない場合は、後述する 新公開サイト基盤(Beta版)で大きく改善できる可能性があります。
7. CMSデータのエクスポートができない
CMSデータのエクスポート機能は現時点で存在しません。記事データなどを今後別ツールに移管する可能性がある場合は、社内で事前検討が必要です。
なお、インポートに関しては、WordPressのXMLデータのみ対応しています。
CMS機能・直近のアップデートで改善されたこと
CMS関連は2026年に入ってから機能進化のペースが特に上がっています。詳細は別記事「Studio CMSの完全ガイド」もあわせてご参照ください。
1. 複数条件フィルター(URLクエリフィルター)対応(2026年2月)
以前は、Studio のフィルター機能は1条件のみで、「2024年 × お知らせ」のような複数条件の同時指定ができませんでした。2026年2月3日のアップデートで、CMSリストの複合条件フィルター(URLクエリフィルター)に対応し、コードを書かずに複数条件の絞り込みが可能になっています。
URL に /page?key=value 形式でクエリが付与されるため、絞り込み条件を反映したURLをそのまま共有することもできる仕様。プリセットパーツが用意されており、検索機能を素早く導入できます。
以前は複数条件を必要とする場面では「組み合わせの条件ごとにページを分ける」「片方を指定したらもう片方は『すべて』になる」といった運用でカバーしていました。参考まで、カロアが制作した Coincheck コーポレートのプレスリリース一覧も、当時は「時期」と「カテゴリー」の同時絞り込みを諦めて、片方を指定したらもう片方は「すべて」になる仕様で運用していた経緯があります。今後は新しいフィルター機能で本来の複数条件対応が実装可能です。
公式ヘルプ: CMSリストのフィルター・URLクエリフィルター
2. AND/OR条件フィルター対応(2026年4月)
2026年4月22日のアップデートで、複数選択プロパティを対象に 「すべてに一致(AND)」または「いずれかに一致(OR)」の条件選択ができるようになりました。「タグA かつ タグB」なのか「タグA または タグB」なのかをCMSリスト側で制御でき、URLクエリ側でも同様に対応。検索体験のチューニングが柔軟になっています。
3. 複数リッチテキストで、記事構成の自由度が向上(2026年4月)
従来は1モデルにつき1つだった記事本文(リッチテキスト)を、1記事内に複数設定できるように。各セクションをデザインエディタ上で個別に配置・接続できる仕様で、記事本文を2カラムレイアウトに分割したり、リッチテキスト間にCTAボタンや画像を挟んだり、各リッチテキストにIDを付与してアンカーリンク先にする、といった使い方ができます。オウンドメディア運用での表現力がもう一段上がりました。
4. CMSリスト表示順(ソート)強化(2026年4月)
以前は新着順が中心でしたが、現在は任意のプロパティで並び替えが可能(あいうえお順・数値順・公開日昇順など)。コレクションを使わずとも、表示順の柔軟性が大きく上がっています。
5. リッチテキストへのPDF・動画直接アップロード(2026年4月)
リッチテキスト内の画像・動画・PDFを、Studio CMSダッシュボードから直接アップロードできるように。記事中で資料配布用PDFを差し込んだり、解説動画を直接再生する構成も、外部ストレージを介さずに完結します。
6. Data Connect API で外部データを動的ページに表示(2026年4月)
2026年4月20日のアップデートで、Studio の API連携機能が「Data Connect API」として進化。Beta版から正式版へ昇格し、動的ページ・動的モーダルへの対応・取得データの構造化データ(LD-JSON)化・SEO最適化まで踏み込んだ仕様になっています。対応サービスは Notion、microCMS、その他APIを公開している外部サービス・自社データベース(プランによって利用上限あり、Business は一覧1つまで・詳細不可、Business Plus 以上は制限なし)。
カロアの所感としては、「Studioを軸にしつつ、コンテンツのマスターは Notion / microCMS で運用したい」という案件でかなり効きます。社内の編集者が Notion に書いて、Studio が動的ページとして配信する形が、SEOにも不利になりにくい構造で実現できます。
公式: API連携機能が進化
サイト公開で何を許容すべきか
1. 無料プランでは独自ドメインで公開できない
無料プランでは「xxxx.studio.site」というStudioのサブドメインでの公開のみ可能です。独自ドメインで公開する場合は、Mini プラン以上の有料契約が必要です。
2. 既存サイトから切り替え時にダウンタイムが発生する
既存サイトから同じドメインで Studio へ切り替える場合、最大2〜48時間のダウンタイムが発生する可能性があります。事前に社内告知や切り替えスケジュールの調整が必要です。
公式ヘルプ: WebサイトをStudioに移行する時、公開サイトのダウンタイムをゼロにできませんか?
3. ページの予約公開・更新ができない
CMS を用いた動的ページ(記事ページなど)では予約投稿が可能ですが、通常の静的ページでは予約公開ができません。予約公開が必要な場合は、CMS化を検討してください。
4. ページ単位の更新ができない
Studio のサイト公開は 一括公開のみです。下層ページだけ部分公開することはできません。
たとえば、営業担当者がAページを編集中、別部署の担当者がBページを編集して本番公開した場合、Aページの編集途中の内容も一括で公開されてしまうので、社内での運用フロー設計が重要です。
5. 小文字英語のドメインしか使えない
Studio のドメイン接続は、小文字の英語ドメインのみ対応。日本語ドメインや大文字を含むドメインは利用できないため、ドメイン取得前に確認が必要です。
公式ヘルプ: 独自ドメイン接続に使用できるドメイン
6. ドメインの購入・管理機能はない
Studio はサイト公開機能のみを提供しており、ドメイン取得や管理機能は持ちません。お名前.com や Xdomain などの外部サービスでドメインを取得・管理する必要があります。
7. 既存サイトの一部下層のみの移行は難しい
たとえば example.com/recruit 配下のみを、URLそのままで Studio に移行したい場合、プロキシという技術を使う必要がありますが、これは Enterprise プラン以上のサポート対応となります。現実的には recruit.example.com のようにサブドメインを切って移行する形が一般的です。
8. 自前のサーバーは使えない
Studio の提供するサーバー上にサイトを載せて公開する仕組みのため、自前のサーバーは使用できません。裏返すと、サーバーの調達・運用が不要になるメリットでもあります。
9. メールサーバーは提供されない
Studio はメールサーバーを提供していません。独自ドメインのメールアドレスを使う場合、別途メールサーバーの契約(Google Workspace など)が必要です。
10. プレビューと本番に若干の差異がある
Studio にはリアルタイムプレビュー機能があり、ほぼ完璧に再現されますが、読み込みのずれやアンカーリンクの動作不一致といった軽微な差異が発生することがあります。過信せず、公開後のチェックも必ず行う運用が望ましいです。
11. 表示速度が決して高速ではない(現時点での既存基盤の話・ベータ版で改善見込み)
Studio のサイト表示速度は、決して高速とは言えません。特にモバイル表示時の PageSpeed Insights 点数は低く出やすい傾向があります。Studio 公式が出している対策(画像の軽量化やロード順の最適化)で改善は可能ですが、根本的な改善は次に紹介する 新公開サイト基盤(Beta版) で進行中です。
ただし新公開サイト基盤は 2026年5月時点でBeta版であり、カスタムコードや埋め込みボックスの互換性に問題があるなど、まだ全プロジェクトで使えるわけではありません。本番投入には慎重さが必要なので、現時点では 「制約として許容したうえで、Beta版を試す価値があるか個別に判断する」スタンスがおすすめです。
公式ヘルプ: Studio公開サイトの表示速度を向上させるヒント
サイト公開・直近のアップデートで改善されたこと
新公開サイト基盤(Beta版)— 表示速度の根本的な改善(2026年1月)
2026年1月29日リリースで、Studio は公開サイトの基盤を ゼロから再構築した新基盤(Beta版) を提供開始しました。これは、長年の課題だった「表示速度」を根本的に解決するアップデートです。
改善の主なポイント:
Google Lighthouse / PageSpeed Insights で「これまで以上に高いスコアが出やすい」
公式テンプレートでは モバイルのLighthouseスコア100点を実現
CMS利用時でも パフォーマンススコア98前後を達成
既存基盤でスコア63だったサイトが、新基盤でスコア100に向上した事例も公開
利用方法は、ダッシュボード > プロジェクト設定 > 「公開サイト基盤の切替」から「新しい公開サイト基盤」を選択するだけ。全プラン対応で、既存プロジェクトでも先行してテスト可能です。
ただし Beta版である点に注意してください。
カスタムコード・埋め込みボックスが期待通り動作しない場合がある
外部連携サービスの設定見直しが必要な場合あり
一部Studio機能が公開サイト表示に影響を与える可能性がある
Beta版ではサポート原則非対応
カロアの伴走経験で言うと、新規プロジェクトで本格的に試す価値は十分にある機能です。一方、すでに本番運用中のサイトで切り替える場合は、ステージング環境での動作確認を経てから判断するのが安全。今は「正式版に向けて改善が進む過渡期」と位置づけて、案件ごとに採用可否を見極めるのがおすすめです。
その他で許容すべき制約
1. パソコンでしか操作できない
Studio はパソコン(Google Chrome 推奨)でのみ操作可能です。スマートフォンやタブレットからは編集できないため、記事の公開やサイト修正には必ずパソコン環境が必要になります。
2. 夜間・休日はサポートにつながらない
Studio 公式のサポートは、チャットサポート or コミュニティでの日本語対応です。公式サポートは正確ですが、ユーザー急増の影響で返信に時間がかかることもあります。夜間・休日はサポートにつながらないため、緊急対応が必要な場面に注意してください。
3. サービス終了時の対応が必要になる
現時点でサービス終了の予定はありませんが、クラウドサービスである以上、終了時には利用者側での一定の対応(データのエクスポート・移管先の検討)が必要になります。万が一サービス終了する場合は、1ヶ月前に告知があるとのことです。
公式ヘルプ: 万が一Studioのサービスが終了してしまった場合そのサイトはどうなりますか?
制約を「妥協」ではなく「設計」として扱う
ここまで制約と直近のアップデートを見てきて、「Studio って意外とできないことが多いな」「でも対応されている項目もずいぶん増えてるんだな」と感じた方もいるかもしれません。
カロアの現場感覚で言うと、これらの制約と最新仕様を事前に把握できているプロジェクトは、ほぼ問題なく進行しています。問題が起きるのは「知らずに進めて、実装フェーズで気づく」パターン。前提が揃っていないまま進むと、発注者・制作者・運用担当者の間で認識のズレが生まれ、それが後の運用負荷や信頼関係の歪みにつながっていきます。
Web制作は、発注者と制作会社の長期的なパートナーシップで成立する仕事です。葉栗が著書『Web制作のための、発注&パートナーシップ構築ガイド』(BNN, 2025)でも書いている通り、ツール選定の場面でこそ、両者が同じ前提に立てているかが問われます。
「Studioで何ができないか」「直近のアップデートで何が改善されたか」を発注者と制作会社が共有していると、要件定義の段階で正しい議論ができ、無理な要件の押し付け合いも、実装後の後出しの修正依頼も減ります。制約を「妥協ポイント」として扱うのではなく、「サイトを設計するための共通の出発点」として扱う。これが、カロアがStudioを使った制作で大切にしている姿勢です。
そしてもうひとつ。制約と最新仕様は 発注者・制作者・運用担当者の3者で共有することに意味があります。発注者だけが知っていても、制作者だけが知っていても不十分。プロジェクトに関わる全員が同じ前提に立つことで、サイトを「ブランド資産」として長く育てていける関係が成立します。
Studio を使った Web制作の相談・伴走をご希望の方は、カロアまでお気軽にご相談ください。
自社の課題に合わせて
カロアができることを
普段使っているAIに相談できます
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