AI業界が急速に変化する中、PKSHA Technologyは2025年6月に主力プロダクトの名称を刷新し、製品の思想をより明確に伝える体制へと移行しました。それに合わせ、AI SaaSサービスサイトのリニューアルにも着手しています。
カロアは、これまでの協働で築いてきた理解とコミュニケーション基盤を土台に、プロダクトの思想を正しく伝える設計とデザインを担当。変化の大きい環境下でも密に連携しながら、“中長期で価値を生み続けるサイト”をめざしてアップデートを続けてきました。
今回は、両社がどのように「ブランドの資産づくり」を育て、パートナーとして共進化してきたのか。そのプロセスと学びについて語り合いました。

数年にわたる協働の延長線上で迎えた、サービスサイト刷新
製品の名称変更を機にサービスサイトのリニューアルに至った
飯田(PKSHA) 私たちはAI SaaS製品の新規顧客獲得を目的として活動しており、各サービスサイトからユーザーが情報を取得し、お問い合わせいただける導線を整えることが重要でした。当時は、展示会やイベントといった施策が主軸で、Webサイトへの流入は限定的。毎月定常的にお問合わせいただけるように、コンテンツとデザイン双方を改善していく必要がありました。
またWeb専任の担当者がいなかったこともあり、Webサイトの改善活動が十分にできておらず、情報も古いままでした。サイトの情報構成も、お客様がPKSHAという会社を理解し、製品を正しく理解していただくという観点で考えた際は工夫の余地があったんです。そこに、2025年6月に主力製品の名称を「bot」から「Agent」へと変更する※という文脈が重なり、このタイミングでリニューアルを実施する判断となりました。
※名称変更に込められた思想や「Agent」への移行背景については、別記事(人とAIが共進化する時代へ。PKSHA Technologyが語る、AIエージェントがもたらすがもたらす新しい働き方とパートナーシップの本質) に詳しくまとめています

https://aisaas.pkshatech.com/voicebot/
言いなりでも押し付けでもない、カロアの“対話型”デザインプロセス
水元(カロア) これまで数年にわたってご一緒させていただいていますが、今回のリニューアルでもカロアをご指名いただいた理由をお伺いできますか?
飯田(PKSHA) リニューアルをするにあたり、デザインの知識と実行力、そしてマーケティング実行部分は当社のリソースでは補えず、外部に依頼したいと考えていました。その中で、過去に協働したことのあるカロアさんの「デザイン力の高さ」と「当事者意識の高さ」に魅力を感じており、今回も依頼させていただくことにしました。
製品のインプットはもちろん、当社が持っていない視点でのフィードバックや、プラスアルファの要素も提案していただける点が魅力でした。

これまでに展示会関連のデザインやバナー作成なども担当
鈴木(PKSHA) 私は前職で、社内のデザイナーと協働したり別の会社にWebデザイン業務を依頼したりした経験がありますが、こちらの要望にプラスアルファで提案をするというのは非常にハードルの高いことなのだと実感してきました。
私たちはデザインのプロではないものの、Web広告やWebマーケティングの知見は持っているので、上がってきたデザインに対して細かな意見を述べることがあります。そのときに、デザインする側がこちらの「言いなり」になってしまったり、モチベーションが下がってしまうと、いいものはできないと思っています。
その点、カロアさんはコミュニケーションがとても丁寧です。言いなりになるわけでもなく、自社の意見を押し付けるわけでもない。丁寧にヒアリングを重ねて、落としどころを見つけていく作業をしてくださっています。
「なぜこのデザインが良いのか?」というロジックがあり、それに対する実績や裏付けも加えて説明し、何か齟齬があった際にもそのまま放置せず、なぜその齟齬が発生したのかをしっかりと紐解いてくださいます。お互いに納得した上で進められているので、「想定していないデザイン」が上がってくることはほとんどありません。
これまでデザインを外部に依頼すること=自社側でかなりコントロールが必要で工数がかかることだという意識があったのですが、長期的な協働によって、カロアさんはそこを覆してくれた印象があります。

水元(カロア) 私たちが普段から意識しているのは、ポイントを絞ってビジネス理解のための対話をすること、デザイン着手前後のコミュニケーションを丁寧に行うことです。
ビジネスサイドは、デザインが目的や期待する役割に沿っているか、各デザイン要素に対して理由や数値で裏付けられた納得感を求めます。一方デザインサイドは、伝わりやすさや操作性だけでなく、色のトーンや1pxの線の太さまで、技術的なこだわりを持ってつくり込んでいます。
限られた時間の中でクオリティの高い成果物をつくるには、ビジネスサイドとデザインサイドが同じ目線で対話できることが重要です。そのため、コミュニケーション設計・コントロールには特に気を配るようにしています。
価値が伝わるデザインは、深い製品理解から生まれる
感覚でデザインしないための、徹底した製品理解とユーザー目線
串上(カロア) 長期協働の中で高めてきたユーザー視点を、今回のプロジェクトでも軸に置きました。ユーザーがどのような情報を求めていて、どのような導線なら自然に読み進められるか。知りたい順にスムーズにアクセスできるよう、情報構造やUIに落とし込むことを意識しました。
また、感覚的な判断に頼らず、「Why(なぜそうするのか)」「How(どう実現するのか)」を必ず言語化するようにしています。そうすることでお互いの認識を一致させやすくなると感じるので、どのプロジェクトでも大切にしています。
水元(カロア) 今回のプロジェクトでは、まず製品理解に時間をしっかり割きました。PKSHA様の製品は技術的にも高度で、その価値を正しく伝えるには、仕組みや思想を深く理解することが不可欠です。ヒアリング後の設計やデザインの工程でも、「どんな構成や表現ならユーザーが迷わず理解できるか」を常に意識しながら進めました。
清水(カロア) マーケターとしては、テクニカルな側面とエモーショナルな側面の両方を重視しました。SEOを含む検索導線を最適化しつつ、訪れたユーザーがPKSHA様の技術やビジョンに自然と共感できるよう、言葉選びや表現にも丁寧にこだわっています。
特に今回のリニューアルでは、「AIエージェント(AI SaaS)」という新しい概念を、いかにわかりやすく魅力的に伝えるかが大きなテーマでした。まだ多くの企業にとって馴染みが薄い言葉だからこそ、「ナレッジマネジメント」など既に検索ニーズのあるキーワードを適切に織り交ぜながら、全体として“真のDX・課題解決につながるサービス”であることを伝えられるようディレクションいたしました。

https://aisaas.pkshatech.com/ai-knowledge-platform
カロアの「聞く力」が制作の質を高める
飯田(PKSHA) 今回のプロジェクトを振り返ると、「AI Knowledge Platform」のデザイン開発は特に象徴的でした。カロアさんから複数のデザイン案をいただき、それに対し私たちの思想や背景を共有しながら、まさに「共につくり上げていく」プロセスだったと思います。
当社が重視している概念のひとつに「情報の滑らかさ」があります。これまで固定的だったドキュメントや動画といった情報が、AIを介することでテキスト・動画・音声へと自在に変換され、流れるようにつながっていく世界観です。この思想をどのように視覚的に表現するか議論を重ね、情報の見せ方を細部まで調整していきました。
山敷(PKSHA) カロアさんは、良い意味で最初にデザインが出てこないんです。デザインをつくる際に「これを聞かないと良いデザインができない」という要素を明確にされているのだと思います。事前に「どの情報がなぜ必要なのか」を教えていただけて、私たちはその問いに答えることで、デザインの解像度が一気に上がっていく。そこが非常に明瞭だったので、信頼してお任せできています。

成果物にとどまらない、協働の本当の価値
言語化されたデザイン思考が、組織に蓄積される“資産”になる
飯田(PKSHA) デザイン制作の知見は私たちになかったものだったので、そのプロセスや思考を学べたことは非常に有意義でした。デザインという、一見感覚的になりそうなものを、しっかりとしたロジックに基づいて組み立てていく。そのプロセスを言語化しながら説明していただいたことで、私たち自身の理解も一段深まりました。
鈴木(PKSHA) その学びのおかげで、社内のメンバーから新しいサイトについて「なぜここがこう変わったのか?」と聞かれたときにも、理由を明確に説明できるようになりました。結果として、社内にもデザインのロジックが浸透し始めていると感じています。そんな効果がこれからより広がっていくのではないかと考えていますし、長期的に見ても大きな価値になるはずです。
白子(PKSHA) 営業資料であれば、10ページ、20ページかけて説明できますが、サービスサイトでは1ページに多くの情報を詰め込まなくてはいけません。テキストにするのかグラフィックにするのかといった表現方法も含めて、資料とは異なるアプローチが必要でした。そうしたことを意図的に取捨選択し、言語化していくことは社内としても良い機会でした。
今後の改善でも、「前回の意図」と「今回の意図」を積み重ねていくことで、より良いマーケティングコミュニケーション戦略や、社内に対する説明能力の向上につながっていくと感じています。

複雑な状況変化に寄り添い、スピード感を保つ伴走
飯田(PKSHA) このプロジェクトは要件やスケジュール、優先度などが頻繁に変わっていきました。不確実性の高い中で、カロアさんとは密に連携していただき「このタイミングでデザイナーのリソースが空くので、その前にこれを終わらせておきましょう」など、細やかに優先順位をすり合わせながら進めることができました。
鈴木(PKSHA) 当初はプロダクトごとにステークホルダーも異なり、構造がかなり複雑でした。製品理解だけでなく、当社の社内状況の理解までも丁寧に行っていただき、「ここは山敷に確認、ここは飯田に確認」と、状況に合わせて柔軟に対応していただけたのは大変助かりました。
認識にズレが生まれそうだと感じた際には、すぐに不定期のミーティングを設定して柔軟にすり合わせをしていただきました。こうしたスピード感ある対応が、カロアさんにご一緒いただく大きな価値だったと感じています。
協働の積み重ねが、ブランド資産を育てる基盤になる
全組織に“統一したブランド体験”を届けるために
飯田(PKSHA) 新規のお客様にご導入いただくという目的でいうと、現在は展示会やイベントが主軸になっていますが、将来的には自然流入のお客様を最大化し、サービスサイトを当社のWebマーケティングの中で一つの軸として構築していきたいと思います。

山敷(PKSHA) 当社のフロント組織にはマーケティングチームの他、インサイドセールスやフィールドセールス、カスタマーサクセスという部門があります。これら全部門で、メッセージに一貫性を持たせ、伝えたいことが担当者によってブレることがないようにしていきたいですね。
そのため今後はWebサイトだけではなく、営業資料なども含めて、他の領域にも関わっていただけると良いと考えています。今後もカロアさんには、外注というよりも「チームの一員」として取り組んでいただけると嬉しいです。
鈴木(PKSHA) カロアさんが製品をしっかり理解してくださったことで、その後の提案やディスカッションの質が格段に上がりました。今後も製品の進化や変化に合わせて、引き続き深く理解していただきながら、一緒につくっていけたらと思います。
白子(PKSHA) できるだけ長いお付き合いになる方が良いと考えています。サービスサイトにはまだ改修が残っているページもありますので、それが揃った際にどのようなパフォーマンスを確認できるかを踏まえて、次のアクションにつなげていければと思います。

カロアが担う共創型ブランディングとマーケティング
清水(カロア) PKSHAさんのプロダクトやソリューションはすべて滑らかにつながっています。その概念を理解するのは非常に難易度の高いことでもあります。そこに対するカロアとしての適切なアプローチは「つくりながら理解していく」ことだと考えています。
今の理解でつくったものに対し、フィードバックをいただいて理解を深め、よりブラッシュアップしたものをまたつくっていく。この循環をきれいに回していくことが重要です。今までも良いものをつくってきたと思いますが、これからさらに理解を深めていけば、より良いものがつくれるはずです。PKSHAさんの思想やプロダクトの魅力を、より高いクオリティで表現できるよう今後も尽力していきます。
串上(カロア) 現在はページをつくる、コンテンツをつくるということですが、領域を広げてご支援させていただきたいと考えています。今後はSEOだけではなく、AIO(AI Optimization)やLLMO(Large Language Model Optimization)といった領域もカバーしていく必要があると考えています。PKSHAさんのナレッジもいただきながら、独自のAIOやLLMOをつくっていければと思います。
水元(カロア) 今までのブランド感を引き継ぎながら、その変遷に合わせたデザインをつくってきました。今後もPKSHAさんのブランド力をより育んでいきながら、かつサービスサイトとしても機能するものを提供できるよう今後もチューニングしていきます。
リソース提供やスピード感への対応という点でまだ課題もあると認識していますが、これからもPKSHAさんの動きややりたいことを吸収し、より早く、より精度の高いものをご提供して、事業に貢献していければと考えています。コーポレートとマーケティングの橋渡しとして、今後も取り組んでいければ幸いです。

[執筆]落合 真彩 [撮影]Yukitaka Amemiya






