スポットの仕事から長期のプロジェクトまで、多くの企業でフリーランス人材を活用する動きが活発化しています。ただし、その活用方法に課題を抱える企業は少なくありません。良いフリーランス人材を採用し、彼らと上手く連携して事業に生かすためには、企業はどのような点に気をつける必要があるのでしょうか。この記事では、フリーランスの上手な活用方法、スムーズにチームに招く方法など、フリーランス活用のカギを解説します。企業のフリーランス活用の満足度は高い正社員だけではなくさまざまな就業形態が増え、個人がそれぞれの働き方を模索する世の中になりました。フリーランス個人と企業をマッチングするプラットフォームの存在感も高まりつつあるなか、案件の期間を問わず、企業によるフリーランス活用が進んでいます。幅広い業界・業種で、大企業からスタートアップに至るまで、専門知識や専門スキルを持つフリーランス人材が求められています。実際にフリーランスを活用した企業ではさらなる期待が高まっていることも事実。「企業のフリーランス活用実態調査」では、「フリーランスの仕事に満足」との回答が64%。78%が今後もフリーランス活用をしたいと回答。また、中小企業の発注担当者を対象に実施された「中小企業におけるIT系フリーランス活用調査」では、74%が「フリーランス人材の活用に満足」と回答。おおむねフリーランスとの連携やそのスキル・提供価値には満足を得られているという結果になっています。「満足」と回答した理由としては、自社でまかなえないスキルの持ち主を、必要なときだけ確保できた第一線で培われた高度なスキルを持ち込んでくれるため、業務が進化・活性化している生え抜きの人材では専門的なノウハウを身に着けるまで時間とお金がかかるが、フリーランスはかからないコスト削減に貢献した(出典「パーソルテクノロジースタッフ|中小企業におけるIT系フリーランス活用調査」)など、企業側が求める価値を提供できている点が多く挙げられています。フリーランスの活用が進んでいる背景企業においてフリーランス活用が進む事実は各調査で示されています。ですが、それが急速に社会全体で進む背景には何があるのでしょうか。3つの点が考えられます。①人材不足「企業のフリーランス活用実態調査」では、フリーランス活用の目的は「短期的な人材不足」が35.5%、「慢性的な人材不足」が25.0%と、「人手不足の解消」にフリーランスを求める企業が多数となっています。今後労働人口が減っていく日本では、人手不足の課題はなくなることはないでしょう。そんなときに、フリーランスを見つけることができれば、即時人材不足を解消することができます。②正社員の採用が難しい企業にとって正社員雇用は大きな負担となります。その理由は、採用にかかる費用、人的リソース、さらには入社後の研修・教育を含むオンボーディングなどにも時間とコストがかかるため。そのコストを払うよりは、フリーランスに業務を依頼したほうが効率的であることも増えています。またフリーランスであればプロジェクトごとのアサインができるため、その都度適した人材を選択してフレキシブルに力を借りることも可能です。③外部の専門性を取り入れたいフリーランスに業務を依頼しようと思った目的に「外部の専門性を取り入れたい」という回答は34%(出典「企業のフリーランス活用実態調査」)。「人材不足」に次いで多い結果となっています。社内では手に入らないような高度な知見を得るために、フリーランス活用が進んできているのです。これまで外部の専門性を取り入れるときには、経営に関する知見なら経営コンサルティング企業、ITに関する知見ならITベンダー企業などといった形で企業間取引が主なものでした。しかし今ではSNSの浸透や各マッチングプラットフォームの拡大などにより、企業から個人に直接依頼することができるようになりました。個人への依頼が増えていくのに伴い、企業の個人に対する信用度も増し、より個人に依頼しやすい社会環境になってきています。フリーランスを上手に活用する3つのポイント多くのメリットがあることが分かったフリーランス活用ですが、企業によっては課題も多く存在します。企業側の背景を踏まえ、ここからはフリーランスを上手に活用するためのポイントを解説します。ここでは短期やスポットのタスク案件ではなく、中長期のプロジェクトへの参画を想定しています。ポイント①コミュニケーションの取り方に工夫が必要フリーランスは社内の人材ではないため、社内の前提が共有されていません。そのため、コミュニケーションの取り方に注意しなければなりません。連絡手段ひとつとっても確認が必要ですし、社内で使っているコミュニケーションツールを導入してもらうなど、工夫や手配することが重要です。特に中長期でのプロジェクトとなると、互いの意思疎通が取れた状態でなければスムーズな進行は難しくなります。多くの企業が「依頼側の意図まで汲み取ってもらうことが難しかった」「フリーランスが自社以外でどんな仕事をしているのか、周りの仕事の状況が分からなくやりづらかった」といった課題も挙げています。このことからも、コミュニケーションの問題をなくしておくことはフリーランス活用において重要な点だと言えます。ポイント②フリーランスに丸投げしないコミュニケーションの取り方にも通じる部分ですが、業務をフリーランス人材にすべて任せきってしまわないように注意しておきたいところです。企業カルチャーや組織風土というベースがないフリーランスに対しては、依頼したい業務が発生した背景や経緯をしっかりと伝えたうえで実施してもらうことが大切。社内の窓口となる担当者がコミュニケーションを怠らず、良好な関係と企業理解を得ることで、上手なフリーランス活用につながります。ポイント③新たなフリーランス採用へのアドバイスをもらうフリーランス人材と一緒に業務を行ったときには、フリーランス目線で新規採用のアドバイスをもらうことも、方法のひとつ。社内に詳しい人材がいない場合は特に、フリーランス本人から聞くことで、既存の人材との関係値が築けるうえ、新規のプロジェクトに関しても上手なフリーランス活用の仕方をノウハウとして社内に蓄積することができるでしょう。フリーランス活用には円滑なコミュニケーションが必須フリーランス人材は専門的知見やスキルをウリにしていますが、彼らとともに業務を進め、期待する成果を出していくためには、相互理解と密なコミュニケーションがカギとなります。企業とフリーランスとの協業には大きなメリットがありますが、課題もまだまだ多く残されています。社会的な背景を踏まえると、今後、企業がフリーランスと連携して業務を進めていくケースがより増えていくことは間違いないので、各企業や担当者は本記事で紹介したポイントを意識しながら、フリーランスとより良い協業を行っていきましょう。