新しいインターネットの時代を表現する「Web3」という言葉を今年に入って頻繁に耳にするようになりました。いわゆる分散型インターネットの時代です。2022年に入り、Web3(Web3.0)時代を感じさせるさまざまな製品・サービスが次々に登場してきています。今回は、その中でも注目を浴びている「X to Earn(○○して稼ぐ)」というキーワードについて詳しくご紹介します。「play to earn」とは「X to Earn(○○して稼ぐ)」とは、「Xをすることでお金(仮想通貨)を稼ぐ」を表現した言葉です。最も有名なものは、ゲームで遊んで稼ぐ「Play to Earn」です。NFTゲームやブロックチェーンゲーム、GameFiなどとも呼ばれます。他にも、運動してお金を稼ぐ「Move to Earn」や睡眠時間にお金を稼ぐ「Sleep to Earn」など、生活のさまざまな場面に対応しいつも通りに生活するだけでお金(仮想通貨)を稼ぐサービスが次々に台頭してきています。今まで時間を費やしていた趣味や日常の行動に、Web3時代の特色であるブロックチェーン技術やNFTによってお金を稼ぐという目的が与えられるようになったのです。「Play to Earn」で稼ぐ仕組み従来のゲームは、自分の趣味や気晴らしのためのものが多く、私たちは時間を一方的に消費していました。しかし、ブロックチェーン技術がゲームにも応用されたことで、ゲーマーに暗号資産を与え、それによって金銭を動かすことが可能になったのです。このように、ブロックチェーン技術を活用し、プレイすることでトークンや暗号資産を獲得できるオンラインゲームの領域は、GameとFinanceを組み合わせた「GameFi(ゲームファイ)」と呼ばれています。そして、Play to Earn(P2E)に対応したゲームを「P2Eゲーム」「NFTゲーム」「ブロックチェーンゲーム(BCG)」と呼んでいます。Play to Earnで稼ぐには、3つの方法があります。ゲームをプレイするNFTを販売するスカラーシップ制度のオーナーになるゲームをプレイするPlay to Earnゲームは、基本的にゲームをして課された条件やコースをクリアすれば報酬としてトークンがもらえる仕組みになっています。トークンがもらえる条件はゲームやサービスによってさまざまです。NFTを販売する2つ目はNFTの取引によって稼ぐ方法です。Play to Earnゲームに登場するキャラクターやアイテムはNFTになっているので、取引をすることができます。希少価値のあるアイテムや、自身が強化したキャラクターなどは高値で取引されることもあります。また、一部のゲームではNFTのキャラクターやアイテムをオリジナルで作成することができ、それを販売することもできます。制作が得意な人は、クリエイターとして活躍することもできるのです。スカラーシップ制度のオーナーになるPlay to Earnゲームの欠点として、初期費用が高額なことが挙げられます。初期費用には安くても数万円〜数十万円がかかり、ゲームを始めたいと考えている人の障壁になっています。そこで導入されたのがスカラーシップ制度です。スカラーシップ制度とは、お金に余裕のある人が、ゲームを始めたいけどお金がないプレイヤーに代わってNFTを購入し、NFTを借りたプレイヤーがゲーム内でトークンを得るとその一部がオーナーに支払われるという仕組みです。オーナーの取り分の相場は、ゲーム報酬の50%〜70%と言われています。(例)スカラーシップ制度の仕組み(Axie Infinity ゲームの場合)スカラーシップ制度を利用してNFTのオーナになれば、自動で稼ぐ仕組みを構築できます。「Play to Earn」で遊んで稼ぐ実際にどのようなゲームが存在するのか、世界中で多く利用されている人気のゲームをいくつか見ていきましょう。Axie Infinity画像:https://axieinfinity.com/Axie Infinityは、トレード&バトル型のPlay to Earnゲームです。イーサリアムで作成されたNFTである「Axies」をベースに、プレイヤーが他のオンラインユーザーと収集、繁殖、育成、対戦、トレードを行うことができます。Axie Infinityは、1日あたり約148万人のアクティブユーザーを誇っており、世界中で1番遊ばれているPlay to Earnゲームといえます。Decentraland画像:https://decentraland.org/Decentralandは、プレイヤーが自分だけの3D世界を構築できる仮想現実プラットフォームで、土地を買ってプラットフォーム内で開発を行います。プレイヤーは土地を購入すると、その土地を使って、独立したゲームを作ったり、営業中のオンラインストアを開いたりと、好きなものを作ることができます。Alien Worlds画像:https://alienworlds.io/Alien Worldsは、近未来的なSFアドベンチャーゲームです。臨場感あふれるゲーム体験を実現するというシンプルなコンセプトで作られています。このゲームは、NFTエイリアンを捕獲し、それを使って採掘したり、さまざまなアイテムを見つけたりすることで展開されます。プレイヤーがアップグレードすればするほど、勝率が上がる仕組みです。エイリアンワールドゲームの公式暗号通貨はエイリアンワールドと呼ばれ、TLMというシンボルで取引されています。プレイヤーはTLMトークンを使って、他のプレイヤーとNFTを交換したり、バトルやミッションに勝利することができます。「Move to Earn」運動して稼ぐ次に、「Move to Earn」を紹介します。「Move to Earn」とは、文字通り「歩いたり走ったり運動したりすることで仮想通貨を稼げる仕組み」のことです。Play to Earnでも応用されていたGameFi とNFTの概念を 、ユーザーの携帯電話やその他の追跡デバイスのGPSテクノロジーと組み合わせたことで生まれたサービスです。基本的に、専用のアプリで記録された距離や時間に応じてトークンが得られる仕組みとなっています。ゲームをする習慣はないものの、歩く・運動するという日常の基本的な動作によりお金を稼ぐことができるので、その手軽さから誰でも取り組むことができるサービスといえます。特に、日頃からランニングやエクササイズが習慣化している人にとっては、その時間を有効活用できるのは嬉しいですね。STEPN画像:https://stepn.com/STEPNは、圧倒的に利用者が多く、最も人気のあるMove to Earnのプラットフォームです。ユーザーがNFTフットウェアを履いて屋外で歩いたり、走ったり、ジョギングしたりすることで稼ぐことができます。STEPNで稼ぐには、プレイヤーはウォーカー、ランナー、トレーナー、ジョガーのいずれかのNFTフットウェアを購入する必要があります。また、スニーカーの属性やレアリティは、プレイヤーのトークン獲得能力に直接影響します。Genopets画像:https://www.genopets.me/Genopetsは、2021年3月に開発が始められた、Solanaブロックチェーン上のNFTゲームです。このゲームの特徴は、Play to EarnとMove to Earnの要素が組み合わさったゲームということです。NFT化されたデジタルペットを育成し(Play to Earn)、バトルやプレイヤー自身が歩くことを通して(Move to Earn)、経験値やNFTアイテムの獲得を目指します。初期費用がかかる他のゲームとは違い、無課金で始められるのもGenopetsの魅力です。Step App(FITFI)画像:https://step.app/Step Appも移動して稼ぐフィットネスアプリで、AR(拡張現実)を通じてメタバースで競争し、フィットネスの目標を切磋琢磨して収入に変えていきます。まずはSNEAKsのNFTを選択し、それをワークアウトのギアとして使って移動し、暗号通貨を獲得します。Step Appは、お金をもらって運動するだけでなく、楽しみながら他の人と競うことができるので、飽きることなく楽しめます。「Learn to Earn 」学んで稼ぐLearn to Earnは、業界固有の知識を学び、Q&Aテストを受けることで利益を得るという仕組みのサービスです。今までは、常に学習する側が学びに対してお金を支払ってきましたが、Learn to Earnは、このモデルを覆し、学習を通じてお金を稼ぐことを可能にしています。暗号通貨とブロックチェーンに関する特有の知識を勉強し、テストに合格することで暗号を得るという収益モデルを確立させています。Learn to Earnは主に初心者を対象にしていますが、この業界についてもっと知りたい、デジタル資産をシームレスに取引する方法を知りたいという方でももちろん利用することができます。Coinbase Earn画像:https://www.coinbase.com/ja/earnCoinbaseはCoinbase Earn Programを立ち上げ、Coinbaseユーザーが暗号資産の知識を学び、その見返りとして少量のトークンを手に入れることができるようにしました。このプログラムは、より多くの人が暗号通貨を学び、所有することを目的としています。Learn & Earn (Phemex)画像:https://phemex.com/ja/learn-cryptoシンガポールに拠点を置くPhemexは、暗号通貨とブロックチェーン関連の概念をユーザーに提供することを目的として、新しい教育プログラム「Learn & Earn」を展開しています。Phemexが考案したテストでユーザーがすべて正解すると、報酬としてトークンを得ることができます。「Eat to Earn」食べて稼ぐEat to Earnは、「食べて稼ぐ」をコンセプトにしたプロジェクトです。このコンセプトもまだ始まったばかりですが、自分の食べたものの写真を撮ってポイントを受けとる仕組みになっています。PoppinPoppin(ポピン)は、「食べる」ことに焦点を当てている世界初のNFTゲームです。ゲームなので、「Play to Earn」の要素も含まれています。「Eat to Earn」としては世界初のプロジェクトなので、多くの人が注目しています。食べ物の写真を撮影してアプリに取り込み、ポイントを獲得していきます。Poppinと呼ばれるペットに食べ物の写真をエサとして与え、ポイントを利用して育成やバトルを楽しみます。自分が食べたもの、食べた量によってPoppinの成長度合いが異なってくるのがこのゲームの面白い点です。Poppinは現段階ではリリースされておらず、今後の情報開示が待たれます。「Sleep to Earn」寝て稼ぐSleep to Earnとは、睡眠時間に応じて仮想通貨が得られる仕組みになっています。Sleep to Earnの最大の目的は、健康的な睡眠を促進することです。睡眠を取るだけでお金が稼げるのであれば、誰もが少しでも長く、質のいい睡眠を取ろうとします。睡眠を取るだけなので手間がかからず、規則正しい睡眠リズムも身につけることができるので一石二鳥のサービスと言えます。SleeFi画像:https://sleefi.com/SleeFiは、睡眠を必要とする独特なゲームコンテンツと、NFTゲーム空間における従来の「Play to Earn」のメカニズムを組み合わせたものです。ユーザーは、寝床の形をしたNFTを手に入れることができます。また、寝ることでSLFTのデジタルトークンを獲得することができ、トークンはゲーム内で使用することも、持ち出して利益を得ることも可能です。SleeFiゲームアプリは、この新しい革新的なコンセプトによって、何百万人ものユーザーのライフスタイルを改善することを目的としています。Sleep Future画像:https://sleepfuture.com/Sleep Futureでは、専用のアプリを通して睡眠の質を計測しており、睡眠に関するスコアが日々算出されます。そのスコアによって報酬であるゲーム内通貨のSLEEPEEの量も変化し、スコアが良いほど稼げる仕組みになっています。このアプリはまだリリースされていませんが、Twitterではすでに5万人近くのフォロワーがおり、大変注目されているプロジェクトだということがわかります。「X to earn」を有効活用するコツ「X to earn」を有効活用するには、利用するリスクや費用対効果を考慮する必要があります。いくつかポイントを確認してみましょう。紹介してきたように、Play to EarnをはじめとするX to Earnのサービスは従来時間を消費するだけだった趣味や日常の行動がお金を稼ぐことにつながる魅力的なサービスですが、もちろんリスクもあります。それらを踏まえた上で、自分にあったかたちで無理なく活用することが大切です。リスク①初期費用が高い上記でも述べたように、「X to Earn」のほとんどのサービスは初期費用が高いことがほとんどです。無料で始められるものもありますが、収益化を考えるのであればキャラクターやアイテムなどのNFTは購入しなくてはなりません。また、稼げると言っても、初期投資以上の金額を稼げる保証はありません。リスク②収益が不安定「X to Earn」の報酬は仮想通貨です。仮想通貨は価格変動が大きく不安定な特徴があります。収益化できるというメリットがあっても、価格が暴落して資産価値がなくなることもあるので注意しておく必要があります。時間を無駄にしない!かしこい使い方とは私たちが「X to Earn」のサービスを利用する際に意識すべきポイントを説明します。日常的にしていることかどうか「Play to Earn」でも、「Move to Earn」でも、「X to Earn」のサービスを利用する際に大切なのはその行動を自分が普段からしていることかどうかを見極めることです。いくら稼げるからといって普段ゲームや運動をしない人がこれらのサービスを始めたとしても、なかなか続かない上に収益化することは非常に困難になります。また、慣れないことを始めようとすれば準備や下調べが必要になり、かえって時間を無駄にしてしまう恐れもあります。「X to Earn」のサービスのポイントは自分が普段していることが収益化につながることなので、無理に当てはめようとすることは得策ではありません。あくまでおまけと考える今まで時間を費やしていただけの行動に対して対価が支払われるのは夢のような話ですが、本格的に参入するつもりがない限り、このサービスに頼りすぎないことが大切です。先ほど述べたように「X to Earn」系のサービスは初期費用が高く、仮想通貨で収益が安定しないので、長い目で見て利用するのが賢い使いかたと言えます。日常生活の行動に少しおまけとして報酬が与えられる、くらいの感覚でいた方が振り回されず心の余裕も生まれます。まとめ今回は「Play to Earn」をはじめとする「X to Earn」系サービスの解説と時間を活用した使い方の紹介をしました。NFTやブロックチェーン技術を代表とするWeb3.0時代が広がっていくにつれ、これらのサービスはさらに拡大していくと思われます。「Sleep to earn」や「Eat to Earn」など、誰もが日常で行う行動が収益につながるプロジェクトもありますので、時間を有効活用したい方はぜひ取り組んでみてください!かしこく無理のない範囲で続けていくことができれば、「X to Earn」サービスはあなたの生活を豊かにしてくれるかもしれません。